分娩後出血の見取り図(第1回:定義・疫学)
PPHは今も世界で母体死亡の最大の原因であり、年間およそ4万3000人——12分に1人が亡くなっています。
現役の産婦人科専門医による、医療従事者向けのエビデンス解説。NEJM・Lancet・JAMA・AJOG・Green Journal・Cochrane などの主要研究を、臨床現場で意思決定に使える粒度で要約します。
PPHは今も世界で母体死亡の最大の原因であり、年間およそ4万3000人——12分に1人が亡くなっています。
免疫療法・プロゲ・ステロイド・PGT-SR・中隔手術――提案されてきた治療の多くはRCTで生児を増やさなかった。問いは一つ、累積生児が増えるか。
血栓素因も機能正常の甲状腺自己抗体も検査では見つかるが、抗凝固もレボチロキシンも生児を増やさない。VTE予防と本当の機能低下は別の話。
産科APSの治療を決めるのは診断名でなく抗体プロファイル。triple-positiveは治療下でも生児3割、LAが最重要。分類基準は診断基準ではない。
治療で生児が増えると示された不育症の原因は実質APSだけ。だが効くのは抗凝固でなく、エビデンスはほぼ単一試験に依存し、早産・FGRには届かない。
不育症で見つかる所見の多くは、流産の原因とも治療対象とも言い切れない随伴所見。本邦では約 3 分の 2 が原因不明で、無治療でも 5 年で約 7 割が生児を得る。生児が増えると示された"治療できる原因"は実質 APS に絞られる。原因か/治療で増えるか/代理指標か真か、の三つの見分けと標準検査を整理。
全4回の総括。診療の重心は「重症度」から「時間軸」へ。第1〜3回の要点を一本の線にまとめ、連載全体の引用文献(70本超)を統合リファレンスとして収載。次の問いは不育症(APS・血栓性素因・甲状腺)。
満期前の計画分娩で母体利益が明確なのは PE に限られる(HYPITAT / PHOENIX / WILL / Cochrane 2026)。区域麻酔と急性期の 2 本柱、産後の家庭血圧管理(POPHT 再入院 27%→7%)、HDP 既往の長期心血管・腎リスク層別化。早期娩出の利益はどこまで及ぶか。
軽症慢性高血圧の降圧はいつ・どこまで(CHAP / CHIPS)、PE 診断が学会で割れる 3 点、急性期の急速降圧と硫酸マグネシウム、日本のニカルジピン事情。「降圧すると児が育たない」はなぜ撤回されたか。
低用量アスピリンを誰に・いつ・どの用量で・いつまで(16 週・100mg 以上)。ASPRE / USPSTF と JSOG 2026 の予防戦略、sFlt-1 / PlGF の位置づけ。
ARRIVE / SWEPIS / INDEX 以降 8 年のエビデンスを「39 週誘発」と「41 週超え管理」の独立した 2 問に分解。post-ARRIVE 4 研究・Hong 2023 サブグループ・Fitzgerald 2023 コスト効果・causal inference 3 研究・JSOG 2026 CQ409 原文と国際 GL 6 者比較。
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